診断論

ここにある内容の多くは。わたくしのセミナーの中やスタッフ等に話していたものをまとめたものですので、体系的内容とは言い難いところがありますのでご了承ください。

絶対的真理と相対的真理

世の中には絶対的真理と相対的真理があります。
9÷2は4.5である。真理ですね。しかし、条件を変えてみましょう。

9人÷2は4.5人でしょうか?血の一滴も偏らず半分にできるのでしょうか?

条件を人間に変えるだけで、相対的真理に変わってきます。
鍼灸の世界の常識は、そのほとんど全てが相対的真理なのです。
腎実はない! 心虚は無い! これらはそれを規定している流派の中でしか存在しません。
なぜそうなったのか? これは、その流派を創始した先生の治療の歴史できずいたのかもしれません。
じゃー、それは正しいのではないか、と言われそうですが、かんじんの治療法が違うのです。

治療法が違う流派においては、適応しないことがかなり多いのです。

鍼灸とカイロプラクティック

昔うちにいたスタッフが私の手技(一部カイロ)をみて、非常にカイロをに関心を強めました。その時に私が言ったことは、両立は無理であるから、
本当のカイロを修めたければ、鍼灸はやめた方がいいよ、とアドバイスしました。特に、鍼灸卒後3~5年は鍼だけにした方がいいでしょうね。

一人の人間の中に、ある一定レベル以上の鍼灸術と、ある一定レベル以上のカイロプラクティックは同居しません。
どちらかを主に、どちらかを従にしなければいけません。

これを前提にして言いますが、鍼灸の技術においても同じことが言えます。

例として、背中のある部分が凝っているとします。

1.内臓に原因があるとして、内臓の治療に重点を置く。

2.そのコリに流れる経絡を使い、足の(膀胱経)の要穴を使い治療をする。

3.何らかの歪な身体の使い方をして、局所にコリが発生したととらえ、そのコリに対して、解剖学的に考え、最も有効な刺針方法で治療をする。

4.何らかの外力や、自家筋力により胸椎が偏移してしまい、その胸椎に付着する筋肉に緊張が生じてコリを生んでしまった。だから、胸椎に直接アプローチして元に戻す。→これがカイロプラクティックですね。

さてどれがいいのでしょうか?

無恥、無知な人たちは、俺は何番正しい、私は何番が正しということでしょう。3番なんか単純だ。すぐに元に戻るとか。1番なんか名人以外効くわけないじゃないかと。

私は、何番でもいいのです。
結果が出ていれば。

そして、一番大事なことは、

それぞれの身体の診方で、全身のすべての疾患を診る目を養わなければならないのです。

1.の診方で結果が出なければ、今度は2番。それでもだめなら3番でと。こんなことしてたら、鍼灸自体に疑問を持つでしょうね。

最低3年。できれば5年。これくらいのスパンで、統一された身体の診方(これが東洋医学の診断法なのです)で自分を鍛えていかなければなりません。そうしなければ、治せるか治せないかは別にして、どのような患者さんであっても対応できるぞ!! というようにはなりません。一生かけても

論理的思考能力

多くの鍼灸師が持ち合わせいないもの、かもしれませんね。

絶対的真理と相対的真理。定言命題と仮言命題という言葉あります。前記は弁証法。後記は論理学の言葉でしょうか。

仮言命題とは何かというと、AイコールB BイコールC であるならば、CイコールAである。この「AイコールB BイコールC」の部分を仮定するということですね。さて、鍼灸の世界はどうなのでしょうか?

全ては(少し極端ですが)仮言命題で成り立ってはいないでしょうか?

五行色体表ですが、黒人には有効なのでしょうか? では、日本人には有効なのでしょうか?
同じ黄色人種だからでしょうか? あれが成立した数千年前の中国の気候や風土などは、今の日本と同じなのでしょうか?

肝は青となりますが、実際は肝臓が悪くなると黒っぽくならないでしょうか?
黒人の患者さんの場合、望診はどうするのでしょうか?

血虚に刺絡はよくない、この様に言われたルーツは江戸時代だと思いますが、どのような統計を取ったのでしょうか?

私はそれらを否定しているわけではありません。大事な要素を含んでいます。
しかし、手法も違う流派にあてはめてしまうことに嫌気がさしてしまっただけなのです。

様々なシバリは、「仮言命題」に負うところが多いのです。

論理的思考能力2 
 

さて、衝撃的な本が出版されました。
新潮社から出ました「代替医療のトリック」です。全6章から成っていて、第2章が「鍼の真実」です。
中医系の先生には、脅威の存在でしょうね。経絡系もですが・・・・・。

必ず出てくる反論は、鍼にはランダム化比較試験はそぐわないという意見ですが、確かにそうです。
量質転化した技術と、平凡な技術と、さらには技術とは呼べない試験で使う刺針法では難しいと思います。

しかし、前回お話しした「仮言命題」という点については、何人にも反論の余地はないでしょうね。
この書では、鍼の起源さえも中国と断定するには問題があると論じています。

また、1970年代に一世を風靡した「鍼麻酔」にもメスを入れています。
多量の精神安定剤を投与していた疑いがあるというのです。

いずれにせよ、鍼灸の世界(経絡・経穴を主体とする流派)の決まりごとは、ほとんど全て「仮言命題」なのです。
本当に多すぎますね。

 
2010-05-07 科学的鍼灸上達論

鍼灸診断論1.

鍼灸には様々な診断法が存在します

 

1.脈を診る・・・六部定位脈診、人迎気口脈診・・・・
2.お腹を診る・・一般的なものから、積聚、三一体質・・・
3.胸鎖乳突筋で診る者
4.ふくらはぎで診るもの
5.舌で診るもの
まだまだいっぱいあります。

大事なのは、流派が違えば、診断法も変わるということなのです。
カイロのモーションパルペーション(動的触診)で経絡治療はできません。
六部定位脈診では、カイロの施術はできないのです。

診断ありきではなく、先ず治療在りきなのです。Aの症状に甲の治療法を施し効果を上げていた。
ところが、同じAの症状なのに効きが悪くなってきた。何かが違うぞ。
そこから発展していったのだと思います。
ゆえに、ある流派の診断法はその流派にのみ有効ととらえた方がよいでしょう。(もちろん応用は効きますが)

小松式複合治療の診断法は、運動器疾患に限れば、運動学的根拠と触診です。(一般的な触診とは違いますよ)
そして、手指鍼の腹診、脈診、そして入江FTとなります。

一つのパターンを作ってそこにあてはめる方法は、習得には早く便利ですが、誤差がかなり生じるでしょう。
診断をする軸線が多いほど、患者さんの病態をより「立体的」にイメージできるのです。
次回は、この軸線について説明していきます。
2010-02-21 診断論

前回と重複しますが
先ず初めに治療在りき

↓昔々のことでした

Aさんが腹痛で、イの治療をした→改善した
Bさんも同じ症状で、イの治療をして改善した
Cさんも同じ症状なのでイの治療をしたのに変わらなかった
Dさんも同じ症状だったのでイの治療をしたら改善した。
Eさんも同じ症状だったのでイの治療をしたのにCさんと同じように変わらなかった

治療家は考える

同じ症状なのに、なぜCさんとEさんは良くならなかったのか?
5人に共通する点と、5人の中でAさんBさんDさんにのみ共通する部分と、
CさんEさんにのみ共通する部分はなんだろかと?

するとCさんとEさんだけおへその下が堅かった。そして、脈が速かった。
そして治療家は、CさんとEさんにはもう一つ治療を追加した。
良くなった。それからは、腹痛の患者が来た時には、脈とお腹を触るようにしました。
そして患者さんは数百人に増えてきた。そうすると、お腹の堅さと脈の速さだけでは対応できなくなってきた。今度は舌の状態も診るようにしていった。・・・・・
そして患者の分母が大きくなるほど、パターンの数は増えてくる。パターンの数が増えるに従い治療法も変わってきた。
このような繰り返しが、最終的に数年、数十年、数百年のスパンで繰り返されてきた。
と思います。(何百年も生きていませんので)

ときどき診断ありきという流派を見かけますが、このような場合ある流派からの分派が多いですね。
流祖やその時の代表者と微妙に、あるいはかなりの部分で「診断や治療法に考え方や手法にズレが生じてきて、分派となります」。後継者問題なんかもありますね。流祖の娘を1番弟子に嫁がせて後を譲る。
そうするとNo2なんかが面白くない。そこに後継者との考え方の違いがあれば、即効独立となるわけです。
ここら辺は、武道の流派や宗教の各派に分かれたこととそれほどの違いはないと思います。

人間の本質は何百年たっても、そうそう変わるものではないですね。

2010-02-26 診断論

 

診断論 ・ 人を診ていくことの難しさ

昔オリンピックで金メダルを取った(陸上競技です)選手の話です。メダルを取る前のこと、膝が痛くなった。あらゆる治療を受けた。
直後は楽になるが、どんな治療をしても根本的な改善にはつながらなかった。

そして、私が教えを受けた某大学の運動学の先生のところに、走行練習時のビデオテープが届けられた。先生は走行フォームを解析した。(診察ですね)その結果、走行時どちらかの足が内捻しているのを見つけた。これを矯正しない限り痛みは取れない。フォームの矯正を指示した。(診断ですね)治療は専属のコーチの役目ですね。結果、金メダルを取りました。

さあ、この選手に本当に必要な診断法と治療法は何だったのでしょうか?脈診? 腹診? 弁証論治? 治療法は? 経絡治療?

私ごときが及びもつかない大先生であれば、脈を診ただけで治されるのかもしれませんが、
凡人には難しいですね。やはり、運動器疾患には運動学だと思います。

ちなみに、初級問題です。
膝OAの患者さんが、靴を履くときに身体のある場所が痛みました。膝関節屈曲、股関節進展させて同じことをすると痛みませんでした。
さて、問題のあるところは「どこ」でしょうか?
そして、そこに有効な刺鍼法はどのようにするのが一番効くのでしょうか?
(直刺では効果が弱いですね)

どんな流派にも、得手不得手が有るのです。
そして一番大事なことは、自分ができるか、できないかなのです。

2010-03-08 診断論

長いことがいいことか?

一部のHPで散見するのですが、
初診時には、十分な診断をするのでお時間を取ってくださいと。
1時間から、最多が4時間でしたね。私なら、そんなところに行きません。

ただ、能力が未熟なだけです。なぜ、そんなことをアピールするのでしょうか?

そんなこともあって、手指鍼と入江FTが合体した診断法をお見せする必要があると思った次第です。

10分もあれば、左右12経絡(手指鍼では左右を別人格ととらえますので計24経絡ですね)の補寫や風邪、熱邪、湿邪、燥邪、寒邪、の存在、そして体の病変(患者さんも気づいていない)もわかります。

もちろん、現代医学的な徒手検査、生化学的数値、すべて理解したうえでです。

もっとも、実際見なければ信用ができない、とかいう先生は、鍼灸師としてのセンスはゼロかな!
2011-02-25 診断論

このあとは、科学的鍼灸上達論と科学的鍼灸院経営論で
 

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