独立開業成功への道
①とにかく、一生つきあう流派を選ぼう。
これが無いと始まりません。何でもいいのです。自分の知識、感性で選べばよいのです。
縁も大事だと思います。実際は道具の違いだけです(前述しました)。ようは、患者さんに喜んでいただき、その対価で生活することが一番大事なことです。そして、のめり込む事です。時間的にも、精神的にも、です!! そうしないと、「量質転化の法則」は起きません。また、「相互作用の浸透」も起こりません。鍼灸免許を所持していることと、鍼灸師であることは違うからです。同時に2つの流派を修行することもだめです。とくに、対立関係(組織ではなく、構造が)にある流派どうしは絶対にだめです。経絡治療とトリガーポイント療法は同居できません。もしできるという人があるなら、両方ともかなりレベルが低くなります。しかし、挫折した流派の次も同系統の流派を選ぶのは考え物です。そのときには、思い切って対立的構造を持つ流派を学んでみてはどうでしょうか? 弁証法の「否定の否定」になり、より高度な治療家になれるかも知れません。そして、3つ以上の流派の体系を学んでもうまく治せない人は、転職しましょう。
なにも、鍼灸師だけが生きていく道ではないのだから。
※経絡治療とトリガーポイント療法のどちらが優れているかということではありません。
そして、流派(会派)間には、それほどの優劣が存在しないことを知ろう。
優劣が存在するのは、人間自身であることを知ろう。
②今現在、自分自身の能力(治療家としての)、財力、勉強に費やせる期間、将来の希望を具体的、客観的に書き出してみよう。
少なくとも、皆さんは20年以上生きてきたはずです。その倍以上の人もいらっしゃるでしょう。学校での勉強はどうだったのでしょうか? 趣味として始めたことは、どのレベルまでいったのでしょうか? 上手くなるためには反復練習が必要になります。
そのためには、最低限の学習習慣も必要になります。今までなかったものが、突然芽生えることは稀です。性格はどうですか? 熱しやすく冷めやすい? コツコツと、積み重ねていくタイプですか? 一つのことを、とことん追求できますか?
財力はどうですか? 中医の道を目指して、中国留学まで出来ますか?
まず、自分自身を客観的に評価してみましょう。でなければ、一生を「セミナージプシー」で終わってしまいます。
③自分の能力を客観的に評価して、30%増しの目標を設定してクリアーしていく。それを何度も繰り返していこう。
前述の部分と重なりますが、3メートルの走り高飛びの練習をするときに、3メートルで練習していてはおぼつきません。少し高めで練習します。
また、2メートルしか飛べないのに5メートルで練習しても意味が有りません。
④目標は大きく、実行は足元から。
あるテレビ番組で紹介されていた社長ですが、10代のときフェラーリに憧れて何とか手に入れようと決心され、最初に始めた仕事は「たこ焼屋」だったそうです。まず、今の自分に何ができるのか。そこから考えたそうです。現在は30代でフェラーリ数台のオーナーだそうです。(もちろん、たこ焼き屋は最初の資金稼ぎだけみたいです)
⑤開業までの期間を決めよう
ゴールのないマラソンなんか走れるものではありません。まず、目標設定です。
開業はうーんと先でも言いと思う人は、一生開業とは縁がありません。
土台の広さによって上に建つものが決まるのです。
開業してからも勉強はできますが、いろいろ制約も増えます。開業までに6~7割の完成度がほしいです。(もちろん一生勉強ですが)
御自分の財力・能力を客観的に判断して決めてください。
卒後の後にある数字は、卒業してからの修業年数です。そして、開業してから全て5年以上経過していることを前提にしました。
1)卒後3年コース・・・最低ラインです。年収450万円を目指しましょう。
日本人の平均給与所得ですが、鍼灸専業では平均の倍です。
同級生の2倍の努力は必要になります。
2)卒後5年コース・・・年収600万円を目指しましょう。(お勧めコース)
自営業者の上位所得です。決して不可能ではないと思います。
しかし、3倍の効率の良い努力をしなければなりません。
3)卒後10年コース・・・年収1.000万円を目指しましょう。(世の中の見方が変わるかも)
給与所得者では全体の3%ですが、鍼灸界では約0.5%以下です。
多少の素質、多少の運、かなりの努力が必要になります。
しかし、皆さんは同じ土俵にいるのですよ。
⑥まず、手技からはじめよう。
指圧・マッサージ・整体ですね。まず、人のからだに触れる。そして、指先の感覚を磨くことです。週に1~2回の勤務では「量質転化の法則」はもちろん起きません。
理想なのは、ここの手技と鍼治療の考え方がリンクしていると無駄がありません。
患者さんは、手技のへたくそな先生は鍼もヘタだと思います。
「卒後3年コース」を選んだ先生は、絶対に必要です。生活していくには無くてはなりません。しかし、在宅訪問や病院、接骨院の手技では開業とは関係ありません。
これらは、「似て非なるもの」なのです。サッカー選手がボールを蹴っているからと
言って、そのまま空手の蹴りにはむきません。対象も、目的も、患者さんの受け取り方も、自分の心構えも違うのです。
※一部の鍼灸の先生には手技併用を否定される方もいらっしゃいますが、私の鍼治療は手技がベースとなっていますのでこのような記載になりました。ご了承ください。
⑦開業して成功した人のことを鵜呑みにしない。
成功者の裏側はなかなか見せないものです。また、いくつのフロックが重なっているのか分かりません。本人でさえ分かっていないことがあります。失敗の始まりです。
「嘘勝ちはあっても、嘘負けは無い」ということです。
鍼灸開業において、成功者の事例は法則化しづらいのです。
※嘘勝ちはあっても、嘘負けはない・・・勝ちには偶然が左右することが多いが、負けは全てが必然である。という意味。
⑧開業に失敗した人から情報を収集しよう。
なかなか言ってくれないものですが、院の立地、人間性、技術、どこかに絶対に納得できるところはあるはずです。そこを真似しない様にすることです。不成功者の事例はたやすく法則化できるのです。
⑨異業種に眼を向けてみよう。
立地が悪いのにはやる店、立地が良いのにはやらない店。
メニュー(品数)が多いのにお客さんの少ない店。メニュー(品数)が少ないのに多くのお客さんが訪れる店。我々にも多くのことを教えてくれます。時には、異業種に目を向けてみよう。
⑩最後の最後に、ウォルトディズニーの名言を3つ、贈ります。
(ことわざとは独特の韻を踏むことで、必ずしも教科書的な文法通りではありません)
The way to get started is to quit talking and begin doing.
何かを始めるためには、しゃべるのをやめて行動し始めなければならない。
Love your work ,if you want to succeed!
もし成功したければ、自分の仕事を愛しなさい。
All our dreams can come true,
If we have the courage to pursue them.
全ての夢は叶う。もし追いかける勇気があるなら。
皆様のご成功をお祈り申し上げます。
小松隆央
この続きは・・・・・科学的鍼灸上達論と科学的鍼灸院経営論で