東京高麗手指鍼協会
こまつ鍼灸院

科学的鍼灸上達論と科学的鍼灸院経営論

序論

平成5年、36歳で鍼灸学校を卒業しました。当時、鍼灸の勉強ができそうな勤め先は30歳以下でした。生活もままならず、いったん鍼灸の世界をあきらめようと決意もしました。本当に何もない状況で、高校時代が傾倒していた南郷継正の「武道の理論」を思い出しました。要約すると、武道は弱者にこそ必要なものであり、誰もが科学的な練習(弁証法的)を積めば強くなれる。これが私の鍼灸の世界での支えになりました。弁証法は、この世の、すべての運動の発展法則だからです。必ず、この理論は鍼灸の世界にも通じるはずだ、こう信じて20年が経ちました。(平成25年現在)

鍼灸学校卒業時の手取り月収は、約19万円。現在は、約7~8倍になりました。そして、多くの鍼灸師に技術を伝えてきました。成功したもの、不成功だったもの。わたくしの今までの人生と、生徒たちの技術の発展のプロセスと開業の成功不成功が、まったく弁証法で説明できることに気づきました。そのすべてを、ここに記載していこうと思います。一部、(ひょっとしたらすべて)過激な表現もあるかと思いますが、それらはすべて、自分自身に言い聞かせてきたことです。ご了承ください。

 

日本人の平均年収・・・・・約450万円

鍼灸院専業での平均年収・・約200~350万円(ここまで行けない人も多い)

人生は、お金がすべてではありません。当たり前のように言われてきていることです。でも、すべての人に通じることでしょうか。会社を辞めて、鍼灸で妻子を養わなければならいものが、こんなことを言ってもよいのでしょうか?それこそ、引かれ者の小唄です。(わからない人は、ネットで調べてください。)

このような考えはいかがでしょうか

鍼灸という技術を通して、「豊かな人生を送る」。家族にも、「豊かな人生を贈らせる」。

三河商人の、「三方良し」という言葉があります。「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」です。

我々の世界に置き換えてみましょう。「おのれ良し」「患者良し」「社会良し」です。患者さんに喜ばれ、その対価で自分自身や家族が豊かな生活が遅れ、売り上げが高ければ、多額の税金が納められます。現在の私の納税額は、昔の年収より多いのです。また、何か所かに、毎月寄付もできるようになりました。自分自身で、年収が一定額上がれば、寄付先を1か所づつ増やしていく予定です。

どうか、これを読んでいらっしゃる皆様も、鍼灸の道を目指されたのなら、鍼灸を通して、豊かな人生を送ってください。

それでは、本論です。

最近は治療院系のマーケティング論を展開する会社も出てきました。しかし、鍼灸に関しては、ある部分で完全に適合しない部分があるのです。それは、鍼灸の技術のレベルアップに伴い、マーケティングを変えていかなければならないからです。マーケターには、鍼灸上達論はわかりません。もっとも、多くの鍼灸界の大家にも、客観的な上達論は提示できないのです。

そして、鍼灸にはマッサージ・整体・接骨院にはない、絶対に越えなければならない壁があります。

それが、「痛い」「怖い」「高い」「信じない」です。

結論から述べます。

いかなる流派であろうとも、いかなる知識を有していようとも、いかなる刺鍼テクニックを持っていようと、いかなる脈診の能力を持っていようと、この日本の社会で「鍼灸院」を開業して自分や家族を養えない技術に、社会的に存在価値はないのです。趣味で開業をしていないのであればです。

なぜなら、我々鍼灸師は、鍼灸技術という商品を、患者様という「消費者」に売っているのです。買い手のない商品は、世の中から消えていくだけなのです。どうすれば消えずに済むのか?どうすれば、購入者が増えるのか?科学的(唯物弁証法的)に展開していきます。

開業鍼灸師として必要な要件

鍼灸の3術   クリックで拡大します。

1.は問題なく成功

2.は地域戦略レベル(後述)では成功

3.は運が良ければ成功

4.は絶対に不成功

であるにもかかわらず、現実の鍼灸学校の入学者はどうでしょうか?

本人の問題

1.鍼灸術→学習習慣を持たないから鍼灸界へ

2.コミュニケーション術→コミュニケーション力がないから鍼灸界へ

3.マーケティング術→投資志向より予算思考が強いから鍼灸界へ

指導者の問題

1.上記3点が必要である事が理解できていない

2.単純に努力をすればよいとしか言わない。(その質を問わない)

3.鍼灸スキルを向上させる場を準備してこなかった。 研修制度等

しかし、これには日本の鍼灸界の構造的問題があるのです。

日本における鍼灸界の構造

鍼灸の技術に生活をゆだねる比重(技術の高低ではない) クリックで拡大します。

鍼灸師の階層

一目瞭然だと思いますが、最も問題なのは、2のレベルがピンからキリまであるのです。

例として

・妻子のいる、40歳男子が鍼灸免許を取得し、鍼灸の世界で家族を養い、鍼灸のみで全生活をかけるため、2から1へのステップアップを考えている場合。

・年収1.000万円の世帯主のもとで、扶養家族が鍼灸で小遣い稼ぎの場合。

・年収5.000万円(医師免許での収入)の医師が、鍼灸を患者に施す場合。

・年商3.000万円の接骨院が、自費診療で顧客単価を上げるために鍼灸施術を行う場合。

・一生、病院の勤務鍼灸師でいいと思っている場合。


そうなのです。一枚岩ではないのです。このような資格は、他にはないでしょう。

上記のような日本の鍼灸社会の中で、

脈診・経穴・刺鍼法の正当性を考えること自体がナンセンスである

・なぜ、日本の鍼灸界で、大成した女性鍼灸師が少ないのか・・・考えましょう

・なぜ、長期にわたり、病院や鍼灸接骨院での鍼灸施術に携わってはいけないのか

価格と立場の問題から→価格相応値が低く、マーケティングの必要のなさ。

最重要な部分が入れ食いであることと、主に整形外科疾患が中心となるから

・なぜ、鍼灸の大先生の流派から、まともに食える鍼灸師が生まれないのか・・・・考えましょう

鍼灸指導者として最も必要な要件は、
指導した技術で、生徒自身に「豊かな生活」を送らせることだと思います。

 

下記の図をご覧ください。クリックで拡大

全て、自動車にかかわるものです。4番では、趣味で峠やサーキットを走るものもいれば、免許を持っているだけのものも含まれているのです。

2.のタクシー運転手が、1.のプロレーサーに、ヒールアンドトゥーを教わる必要はないのです。

職業の階層例

勤務先により、鍼灸師としての心が決まる

どういうことでしょうか?

考えてください。鍼灸接骨院や、整形外科で、1回500円や1000円の治療をする場合と、1回5.000円の治療費を取るところでは何が違うのかを。受け手側の、価格期待値が全く違うのです。価格期待値とは、年齢を重ねた人間ほど、確立された価格相応値を持っています。(そうおうとは、釣り合うこと、ふさわしい事)

そして、多くの人間は、価格より若干高めの期待をするものなのです。これが、価格期待値です。

100円のコーヒーと1.000円のコーヒー。

1皿105円の回転寿司と、一人五万円のすし店。

開業1年目と20年目の鍼灸師。

肩書き0の鍼灸師と肩書き豊富な鍼灸師。

1回 1.000円の施術料と10.000円の施術料。

多くの人は、右に記載してあるものが、左に記載してあるものより、期待度は高いのです。

105円の回転寿司で、50円から70円程度のレベルの寿司をとっても、人はあまり怒りません。しかし、期間限定で、300円のものを105円で出されると、感激しますね。少なくとも私は。回転寿司大好きです。(特にスシローが)

しかし、一人前5万円のすし屋で、回転ずしをだされたらどうするでしょうか? 怒りくるって、二度と行かないでしょう。そして、多くのお客さんは、罵声を浴びせて出ていきます。

あなたが、もし寿司職人を目指すのであれば、どちらに勤めなければならないかはお分かりですね。

(顧客減少)価格失望値←価格相応値→価格期待値(リピーター増加・口コミ増加)

鍼灸も同じなのです。病院勤務の鍼灸師が、マッサージや鍼が下手でも、「あんたは下手ね、二度と受けたくないわ」と心で思われても、面と向かって言われた事のある人は少ないと思います。

上記、左側の鍼灸師が、右側の料金設定をしたら・・・あなたはどう思いますか?

私の治療院は、以前にはマッサージや接骨院も併設していましたので、ずいぶんスタッッフもいました。面接者は、勤務者の10倍はいたと思います。私は、面接をするときに、必ず5分程度揉んでもらいます。実技テストですね。接骨院や、病院に勤務していたかたほど、へたくそです。話になりません。うちは、マッサージといっても、自費メインでしたので、使い物にならないのです。半分くらいの人は、お金をもらっても、30分もじっとしていられませんでした。なぜ、そんな技術で何年も務められたのでしょうか?  答えは簡単です。レベルの低いマッサージで、患者も、オーナーも満足しているからなのです。これが、保険適用の弊害なのです。患者にとっては、安いからいい。オーナーにとっては、薄利多売だから、こんなスタッフでも、いないよりはまし。

さて、一方で60分 7.00円のマッサージ店です。へたくそだと二度と来てもらえません。オーナーは、下手なスタッフをとことん教育するか、首にします。また、お客さんは、面と向かって、「あなたは下手ね」とか、「次からは違う人にお願いしますは」とか言われてしまいます。昔の私は本当に言われました。

さて、どちらに勤めたほうが技術は上がるでしょうか?  そして、より治療家としての「こころ」と「気」が鍛えられるのでしょうか?

開業は、まず価格設定ありき→そして店舗を決める→移転を前提とする(次のステップのために)

500円の化粧品と、5万円の化粧品は、同じ場所ではどちらか一方は絶対に売れません。

シャネルの支店が石神井公園にないわけは?

貴方は、鍼灸界のシャネルなのか、無印良品なのか、100均ショップの商品か?


決めるのは、全て消費者(患者)なのです。あなたではないのですよ。

 

一般社会での鍼灸の壁(四重苦)

痛い・・・・・・・・針そのもの

怖い・・・・・・・・脱衣やその他の問題

高い・・・・・・・・価格の問題

信じない・・・・・・鍼そのものの効果を信じない人は、初めから除外する事


信じないのは、「あなたの技術力」を信じないということを認識すべし。

自身のwebで、コンバージョン数の高低が信頼の評価である。

 

 

鍼灸技術の発展段階

スキルの階段変化クリックで拡大

一般的には、このように技術は発展していきます。通常、一直線的な右肩上がりにはなりにくいです。

そして、これに合わせたマーケティング手法を対比させてみます。

 

 

マーケティング段階クリックで拡大

 

このような図に置き換えることができます。しかし、多くの先生は、地域戦略の段階で一生を終えるか、地域戦略を省略していきなり駅前戦略から入っていき、繁盛をしないまま、あくせくしてしまうのです。

 鍼灸の技術とマーケティングはリンクしている現実

トリガーポイントと経絡治療という、対極にある治療法の比較です。

ここに二つの鍼灸院があります。

一つは、トリガーポイント鍼灸治療の名人です。治療はトリガーポイントのみ。評判は上々です。しかし、繁盛していません。

二つ目は、その数件先にある、経絡治療専門の鍼灸院です。腕は3流ですが、そこそこ食べていけるようです。

さて、ここまでの流れで、どのように考えればよいのでしょうか?

正解です(もちろん、例外もありますしこれがすべてではありませんが)

・まず、トリガーポイントについてですが、この治療で一流の鍼灸師の場合、適応疾患でであれば1~3回程度で完治するでしょう。内臓疾患に対しては、それほど得意とは言えないでしょう。

すなわち、一人あたりの顧客単価が低く、頻繁に新規顧客のマーケティングに精を出さなければなりません。ひっきりなしにです。

また、トリガーポイントで高名な先生がいらっしゃいますが、実際この先生の施術環境は、施術者にとって非常に有利な状況です。高名、病院、パイオニア、マーケティングの必要なし。このような環境の先生では、技術とマーケティングを融合させたしどうは、ありえないのです。そして、トリガーポイント治療の痛みと、患者が抱えている痛みや辛さとのバランスが取れていないともいえるでしょう。

・さて、一方の経絡治療ですが、多くのHPを拝見していますと、まず痛くない鍼ということを売りにしています。事実、一般的には細めの番手を使い、浅刺しが主ですね。もちろん、主訴により深刺しもありますが。3流の経絡治療科であれば、不定愁訴の患者さんが多いと思います。そのような場合、針の接触刺激により(すなわち、針そのものの力)若干の効果を感じ、長期の治療が続くことが多いのです。

すなわち、顧客単価が高く、そこそこに、低目での安定はあるでしょう。


実は、マーケティングにとって一人の患者さんの平均治療回数は、絶対に大事なことなのです。平均1か月に何回治療に来られるのか。1年続く場合の平均治療代はいくらなのか。

そこから、1か月、1年間の広告宣伝費を割り出します。0.5%~15%くらいまででしょうか。サービス業の場合には。

そして、そのコンバージョン率(ちらしを撒いた数に対して、実際に初診として来られる数)が高い数値ほど、信頼を勝ち得ているといえるでしょう。特徴のない鍼灸院のコンバージョン数は、驚くほど少ないものです。ちらし、1万枚に対して、約二人程度でしょうか。

いやいや、基本的には口コミだよ、とおっしゃる先生もいらっしゃるでしょうか、これからの社会は昔ほど口コミが働きにくくなっています。私の治療院の月間新患数の最多は、52名で、頸椎症の患者さんが45名でした。これは、まったく口コミでは不可能な数値なのです。

時代は変わり続けています。20年前に出ていた、開業マニュアルなどは使い物になりません。インターネットやパソコンの普及に追いつけない業種は、ますます淘汰されていくことでしょう。

ここに記載してある内容は、すべて都市型のマーケティングについて記載しています。地方都市の場合には、当然手法も変わってきます。

続きます 2/22