2017年12月10日小松式高麗手指鍼研究科のブログ by天野先生

2017-12-10

はじめまして、数多くある鍼灸セミナーのプログや鍼灸院のプログから当サイトを選んで閲覧してくださりありがとうございます。全てのご縁に偶然などあり得ません。全てが、必然なのです。

毎月こまつ鍼灸院で開催される小松式高麗手指鍼基礎科、研究科。及び小松式複合治療基礎科、研究科セミナーの講義内容と感想を
セミナー講師助手である、鍼楽鍼灸院、院長諏訪友一先生と
こまつ鍼灸院、副院長天野英光で随時プログを更新していきます。
宜しくお願い致します。

12月10日小松式高麗手指鍼研究科のセミナーがありました。
10名の鍼灸師の先生方が参加されました。
参加された鍼灸師の先生は
東京都23区内からだけでなく、東京都の山深い僻地にある異国情緒たっぷりなカルフォル二アの近く『拝島』や埼玉県の楽園の地スイスのジュネーブに似た『飯能』から、さらに遠方では愛知県や三重県から参加される先生もいらっしゃいました。
治療家として鍼灸治療のスキルの向上だけでなく、経営者としてマネージングやコミニュケーション力に対しての努力も惜しまない意識の高い先生が集まったセミナーとなり、大変有意義な時間を共有出来ました。

section1
まず始めに、小松式高麗手指鍼について、小松式複合治療について、または日常で遭遇した難儀している臨床症例について自由に質問してもらいます。質問内容の一部とアドバイスを紹介します。
質問①
頸椎症で来院された女性の患者。鍼治療が初めてだった事もあり、刺激に敏感だった。伏臥位で刺鍼中脳貧血を起こしてしまった。
脳貧血を起こさないようにする質問に対して、
①刺鍼技術を上げて刺鍼時間を短縮させ、伏臥位での治療時間を早める事
②刺鍼技術として頚部肩上部周辺の筋肉を貫通させるように刺鍼するので はなく、手前の筋膜にとどめるように刺鍼する事。
③手指鍼では、頚の相点、肝、脾を用いる事。
③初診時、鍼治療に対して恐怖感が和らぐように説明しても、恐怖心が  とれない場合は、トラブルや事故を避けるために治療前に断る事も必要 だという事。
などアドバイスされました。

質問②
膝の痛みの治療について
①小松式高麗手指鍼と小松式複合治療を合わせる。
②通常内側側伏靱帯の刺激は60~80ヘルツでやっていたが、
熱感が無い場合1ヘルツで刺激した方が痛みがとれやすい。
③熱感が有る場合は通常の60から~80ヘルツで治療する。

質問③
腰痛治療について
①小松式高麗手指鍼と小松式複合治療を合わせる。
②凝り感や張り感を主症状とした筋筋膜性腰痛の場合は手指鍼はあまり効
果が無い。小松式複合治療の方が高い効果を期待する事が出来る。
③ズシンと痛む腰痛に対して手指鍼が有効の場合がある。

質問④
味覚異常の治療
舌と関係する五行論の五臓は心なので、心勝方と口の相点に多鍼する治療を3回程度したが効果が無かった。治療効果を上げる為の質問をすると、
①治療と治療の間隔を短くさせて治療回数を増やす事。
②味覚を感じない場合は、補方である正方を用いる事。
③主たる五治処方を心だけに限局しない事。
④舌を肌肉と置き換えて考えると、五行論五主では脾と関係する事から脾 を用いる事。
⑤なに味が特に感じにくいかを聞いて五行論五味から選ぶ事。
すなわち、
酸味ならば肝 苦味ならば心 甘味ならば脾 辛味ならば肺
塩辛味ならば腎  を用いる事。
⑥鼻がつまり嗅覚が低下している場合は、肺正方と鼻の相点を用いる事。
⑦逆流性食堂炎など胃酸の分泌が影響する場合は、胃勝方を用いる事。
などアドバイスを受けました。

section2
次に、
小松式高麗手指鍼の特徴の一つ。腎臓病に対しての講義がありました。
頭のカタイ鍼灸師にありがちな東洋医学的な見立てである、陰陽 虚実 表裏 寒熱、腎虚症、腎実症舌診、脈診etcだけにとらわれないで、
西洋医学的に腎臓病に対して、各種血液検査の見方、検査項目数値の上昇と下降の意味、基礎医学である生理学、解剖学、病理学、薬学、栄養学をバランスよく学べるわかりやすい講義内容でした。

section3
次に、主たる五治処方の決め方、従となる五治処方の決め方についての講義がありました
症例 糖尿病性腎症
症状 ①高血圧150/90
②網膜症
③下肢の神経障害
④高血糖
⑤HbA1C12

主たる五治処方の決め方考え方
1 優先的に治療が必要な症状に対して選択する
①最も重要な症状、高血圧をさげる心勝方を選択する。
②糖尿病性腎症の改善を促す、腎正方、脾勝方、脾正方を選択する。

2 消去法を用いて選択する
③下肢の神経障害は複合治療を用いるから膀胱勝方は後回しする。
②網膜症は相点に多鍼すれば良いから肝正方は後回しする。
⑤HbA1c12は手指鍼だけで下げれる数値のレベルでない。
薬事療法が必須であるため後回しにする。

3 FTや三一体質、陰陽比較脈診、運気体質を参考に最終的に
頭で考えて選択する。

section3
実技の講義でした。
高麗手指鍼は通常五治処方は薬指小指だけに刺鍼しますが、小松式高麗手指鍼は母指示指にも刺鍼する事で最大片手に6種類五治処方を入れる事が出来ます。これにより難病に対して治療効果をあげてきました。
普段、母指示指を刺鍼していない先生にとって特に母指の刺鍼は難しいですが、懇切丁寧に刺鍼部位を指導してして頂きました。

section4
最後にドュケルバン病の刺鍼の実技の講義でした。
長母指伸筋健、短母指伸筋健を対象に伸筋支帯をくぐらせるように横鍼する技術はとても難しいですが、効果は絶大です。

感想
講義時間は休憩時間を含めて5時間ですが、一時間程度にしか感じれない
程時間が経過した事を忘れてしまう、濃厚で濃密な講義内容と実技のセミナーです。
自尊心や学習意欲、経済面など様々な意味で学ぶ事に餓えている鍼灸師の先生にお勧めのセミナーです。単発のセミナーと違って年間を通して学ぶ事が出来ます。

是非参加してみてください。

お互いに切磋琢磨して徳を高め合いましょう。

Copyright(c) 2012 こまつ鍼灸院 All Rights Reserved.